またまた装丁に引き寄せられた本。装丁、田中久子さん、装画・口絵、平松麻さんだそうです。
原題の”GULLIVER’S TRAVELS” と著者のJONATHAN SWIFTのローマ字フォントも素敵。2022年10月30日、朝日新聞出版発行。柴田元幸訳。
昔からある著作が、訳者や出版社、装丁も新たに出版されると嬉しくなる。やっぱり、装丁や文体が現代的でないと、段々読むのが辛くなってくるから。訳者さん、ありがとうございます!
この装丁を見たら、これは読まないわけにいかないではないか、と思った。ガリバー旅行記を読んだら、憧れの人の思いが少し分かるかも!って。
まだ最後まで読んでないのですが、第1部「リリパット国渡航記」(ガリバーが巨人として訪れる国)と第2部「ブロブディングナグ国」(ガリバーが小人として訪れる国)と第3部の「その他(日本含む)」のうちの、「ラプータ(飛ぶ島)あるいは(宙に浮かぶ島)」まで読んで、感想が書きたくなってしまった。日本が出てくるまで(最後だ💦)は読みたかったんだけど、段々飽きてきた(笑)
ちなみに第3部の正式なタイトルは、「ラプータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリブ、日本渡航記」です!
話は変わりますが、私、著者の言ったことはそのまま信じるタイプでして笑
よく、小説の冒頭に、これはフィクションではなく実際に起こったことである、とかわざわざ但し書きがしてある場合あるじゃないですか。
もう、この但し書きがあるとダメ笑。
あー、本当にあったことなんだー、って信じちゃう笑
恋愛小説ならまだいい。信じられる。
でも、この本にも書いてあったー。どうしよう。信じられる?私…笑。
p.15-16
出版者から読者へ
(略)
文章は素朴にして明瞭、唯一難があるとすれば、旅行記の常として、記述がいささか詳しすぎるという点であった。全体を通じ真実味に関しては明々白々で、実際この著者は、つねに真実を語るとの定評を得ており、レドリフの隣人たちのあいだでは、何か事実を断言するにあたって、「ガリバー氏が語ったかのように真」という言い回しが広まっているほどである。
『ガリバー旅行記』ジョナサン・スウィフト著 柴田元幸訳 朝日新聞出版 2022年
リリパット国渡航記を読んで、ブロブディングナグ国渡航記を読んで、ラプータまで読んで、やっと「真」の意味が分かりかけたので、シェアします。この、訪れる順番も大切な気がした。
ガリバーは、旅を志していたので、航海術や医学を学び、船医としての職を得た。船医としての航海を終え、陸に上がって家族の元を訪れるが、たびたびまた航海に出たくなり、しばしば出奔する。
その幾度目かの航海で嵐に遭い、もはやここまでか、と思いながらたどり着いたのが、リリパット国。
目覚めたら、身体中が地面に糸のようなもので貼り付けられており、身動きがとれない、という有名な部分へ。
ガリバーは、この小人たちを一気に握りつぶしたい衝動に駆られながらも、
なんとか礼を尽くして、乱暴な人間ではないことをわかってもらう。
丁寧な身振り手振りで従順に従い、王様と謁見することになる。
王様には気に入られ、リリパット国で穏やかな日々を過ごしていた。
しかし、それが気に入らない臣下の幾人かにハメられたりして、ある日王様のご寵愛を失ってしまう。
リリパット国の王からは、隣国への使者として隣国へ訪問許可を得ていた。ガリバーと仲の良い臣下が、裁判が始まるから今すぐ逃げろと忠告してくれた。
ガリバーはこのゴタゴタを知らなかったこと、仲の良い臣下からも聞いてなかったとして、王から以前に許可を得ていた隣国への訪問義務を果たすとして、隣国へ逃げていく。
隣国で数日過ごして内情がバレるが、今度は隣国の王が庇ってくれた。
ガリバーを味方につけておいた方が、戦争になった時に有利だとの思惑もあった。
隣国で過ごすうちに、もうこのままでいいかと思い始めていたガリバーだったが、ある日、この巨人(ガリバー)が乗るようなボートが発見されたという。
ガリバーは、今しかないと思い、身の安全もいつどうなるか分かったものではないし、お互いにとって厄介払いになると、王に請い願い、ボートに乗ってロンドンに帰郷できた。
またしばらくして、懲りずに旅に出たくなったガリバー。
またもや遭難して笑、見知らぬ土地に辿り着く。今度は、草の丈が2メートルもあり、巨人が自分を見つめていた。逃げるガリバー。
農夫に捉えられると、農主に引き渡される。
この農主は夕食のテーブルにガリバーをあげてくれた。
農主の息子がおもちゃを見つけたようにイタズラしようとするが、農主にしかられる。農主の娘は、ガリバーのサイズの洋服なども器用に縫ってくれ、人形のお家のような居心地の良い専用の家も作ってくれた。
しかし、ある日農主は見せ物としてガリバーを散々引き連れ回し、ガリバーは芸などをさせられ、疲れ切ってボロボロになる。
王がガリバーを買い取ってくれ、農主の娘もお付き官女として宮仕えすることになった。
ガリバーは計画を立て、用意周到に準備し、ある日逃走を企てる。
計算していなかったことだが、トンビにコンテナごと咥えられ、落とされた後に、ある船に発見される。またロンドンに戻ることができた。
ここまで読んで、私は言語化したくてムズムズしてきた。
初めは、巨人として新たな地に迷い込む。
でも、それが失敗してまた新しい土地へ行ってみると、
今までとは打って変わって自分が小人となる。
巨人だった時は、小人たちの気持ちはよくわからないこともあったが、
自分が小人になってみると、いかに巨人が恐ろしいものかということが分かる。
立ち位置の違いって、実際に違う立場に立ってみないと理解できない。違う立ち位置をしょっちゅう味わいに行くのも大切なのかも。
だから、人は旅に出たくなるのかもしれない。新たな土地で、小人になるために。
ちなみに、ラプータ(宙に浮かぶ島)では、ある程度の身分の人は常に思索していて、いつも上の空。叩き人という人を雇っていて、来客中に会う目的を忘れたとき、歩いていて崖から落ちそうなときなど、我を忘れたとき、叩き人に叩かれて我に返る笑。奥さん連中は浮気し放題だとか…
会話をしていても、いつもこの国の人は上の空で、話していて頭にくる、とのガリバーの感想。私も気をつけないとーーー!
『ガリバー旅行記』ジョナサン・スウィフト著 柴田元幸訳 朝日新聞出版 2022年