視聴2回目。『ユー・ガット・メール』内でしつこく(笑)引用されていたのでつい。はるか昔に自分好みではないだろうなと思いつつあまりにも周りの評価が高いので見てみたことがある。細かいストーリーは全く覚えていなかったが、「すごく温かい、素敵な映画だった、見てよかった」という漠然とした印象だけは残っていた。年を経て見直すと、この映画の素晴らしさがより一層価値の高いものに感じられた。レビューも軒並み高評価。私が感じた一番の魅力は、俳優の素晴らしさ。それまでも映画は好きな方だと思っていて、幾多の恩恵も受けていると自覚しているつもりだったが、俳優の仕事の素晴らしさを噛みしめてしまった。俳優が魅力的、ってこういうことを言うんだー、って。今までも、あまり有名な映画ではないかもだけど『ギルバート・グレイプ』のジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオ、『プリティ・ウーマン』のジュリア・ロバーツなど、その他にもドラマ『ロング・バケーション』の木村拓哉と山口智子など、俳優の魅力を感じる作品は多々あったと思うけど。それでも、この『ゴッドファーザー』でのマーロン・ブランドやアル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロの演技をずっと見ていたい、という抗いがたい魅力を感じた。俳優の魅力も、物語の素晴らしさと同じくらいの、3時間視聴者をひきつける引力がある。
どこかのサイトで、『家具やインテリアが素敵な映画』として、なぜかこの映画が挙げられていて、たまたま携帯のメモに見たい映画がなくなったら見ようと思ってウェイティングリストにあげていたところ、『ユー・ガット・メール』でも推されていたので、見るしかない!と今回見てみたのだけど。もちろんイタリア家具(舞台はニューヨークだから、イタリア家具かどうかは不明だけど)やインテリアも素敵だったが、今回2回目を見て良かったと思ったのは、これは大人の映画だと。家族だったり、組織のマネジメントの話なのだなぁ、と。
シチリアマフィアのドンであるドン・コルレオーネの人間的魅力、家族を大切にするところ、友情を大切にするところ、知恵と策略。
この映画は、大人が学ぶべき教訓に溢れている。マフィアの話であって、マフィアの話を超えている。
もちろん、暴力的な描写だったりはあって、そこは女性は苦手かもしれないけれども、暴力的な描写というのは、信頼している人から紹介されると痛みが和らぐらしい。これは、YA(ティーンズ向け)の本のある著者の方が講演されていた話だが。
戦争の話だったり、いじめの話だったり、必然的に暴力的な描写を含んでしまうけれどもよい作品というのは確かに存在するわけで。その中でどうやって生き延びるかというのもまた大切な話でもあって。
今回も前回もこの暴力的な描写を和らげてくれたのはドン・コルレオーネの人間的魅力だったり、マイケル・コルレオーネの(初めの)好青年ぶりだったり。マーロン・ブランドとアル・パチーノの俳優的魅力を信頼して、最後まで観ることができると思う。
暴力が話の中心にあるにはあるのだけど、印象に残るのはやはり家族愛であったり人間愛だったりするので、衝撃的なシーンはあるけれども、(レーティングはPG12)(さすがに子どもには暴力的な描写がトラウマになるかもなので注意必要)大人の方々には一度は観てみていただきたいおススメの映画です。
ニューヨークという大都会と、マイケルの潜伏先のシチリアの田舎の自然の風景の対比もハッとさせられる。家族を作ったり、子どもができたり、っていうのはきっとこういう場所なんだろうなぁ。
映画だけでなく、文字でも楽しみたくて、原作も読んでみた。
文字が好きな人は、原作も長いけどきっと楽しめる。ドン・コルレオーネの哲学を文字で読むことができるのは貴重。この映画の脚本は原作者のマリオ・プッゾと監督のフランシス・フォード・コッポラが二人三脚で書いたそうです。
でも、原作に忠実なので、映画を観てからの答え合わせや謎解きに読むと理解が深まる。ファンになってしまうと、ただ身近にこのファミリーの世界を感じたいためだけにでも、読む価値あり。ハリウッドで活躍しているジョニーという歌手のエピソードは、映画では原作の大部分がカットされていたけど、映画好きならそのエピソードもまるっと楽しめるかも。
『ゴッドファーザー』 フランシス・フォード・コッポラ監督、マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン出演、パラマウントピクチャーズ、1972年、2時間57分
『ゴッドファーザー』 マリオ・プーヅォ著 早川書房 2005年(新装版)、(1972年)