三味線の一の糸の音色に魅かれて、ある男前の三味線家に惚れ、所帯をもつようになった商家の娘、茜と三味線家、露沢清太郎の話。
茜は清太郎の芸一筋なところをよく支え、清太郎はひたすら芸一筋。
こういう話が好き。
その道一筋、って、やっぱりすごいし、かっこいい。
茜も、ある意味清太郎一筋で、そこはぶれないんだけど。
清太郎の生き方を見ていると、芸の道の険しさ、厳しさ、そして虜になるような魅力というものを感じて、芸の道に対する憧れを改めて感じる。
一生をかけられる道がある、って素晴らしい。
茜が清太郎にお茶を点てるシーンがあって、そこはしんとして、
言葉が必要ない夫婦の時間というものを感じます。
『一の糸』 有吉佐和子著 新潮文庫 1974年