奇跡


アマゾンの口コミで散々に言われていたので、自分はどっちかなー、と思いつつ。

電化製品と違って、本の感想って人それぞれだから、(電化製品も人それぞれかもしれないけれども)もちろん口コミをいくら読んでも自分がどう感じるかは実際に読んでみないと何も分からない。

一言で言ってしまえば、不倫の話なのだけれども。

陳腐、とか、主人公の一方的な立場からしか語られていない、とか、

林真理子がこんな表面的な書き方しかしないなんて、とか。

ドロドロしてる部分がないからつまらない、とか。

主人公のナルシスティックなところが気持ち悪い、とか。

たまに、やっぱり奇跡、とか。。。

私も、やっぱり奇跡かな、と思う。

相手を想う愛情だったり優しさしか感じないな、と。

他のありきたりな話だったら、やっぱりどちらかが自分勝手になっていったり、保身に走ったり、ここまで相手のことを考えて貫けないのではー?

ドロドロしてる部分は、本当になかったのかもしれないなー、って。

息子くんも含めて、そういう関係を何年も持てて、かつ貫いて結婚するんだから、これはやっぱり奇跡と言っていいのでは?と個人的には思ってしまった。

あと、こきおろしている人もたくさんいる中で言いにくいけど、

やっぱりこの主人公の普段の姿勢、義理の両親への献身だったり、

完璧に梨園の妻をやり尽くしてたり、息子の将来を絶対に傷つけまいとする当事者含め周囲の関係者の価値観の一致だったり、そういう姿勢をブレずに長年貫いたからこその、この奇跡的な結果なんだろうなー、と。

秘すれば花、にしておくべきだった、という人もいたが。

そういうひっそりした物語をすくうのが小説の役目なんだろうなぁ。

『奇跡』 林真理子著 講談社 2022年3月1日発行


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