自分の運命に楯を付け


『芸術は、爆発だ』の岡本太郎の芸術論、人生論。「週刊プレイボーイ」に連載された人生相談がもとになっている。この本はパートII 。パートIが『自分の中に毒を持て』。今、とても岡本太郎が気になっている。母の岡本かの子さんの本は読んだことがあり、その中の「太郎への手紙」というのがとても良かったのは心に残っている。子どもが赤色が好きで、岡本太郎といえば赤で、大阪のガイドブック等で何度か目にするうちにだんだん気になってきていた。学生時代はよく分かりもしないながらも気になった展覧会には行くようにしていて、ジャン・ミシェル・バスキアが気になり、ポスターを飾ったりしていた。バスキアの絵を見ていると自分自身が自由になれる錯覚があったのだ。その時の興奮を今なぜか岡本太郎の絵に感じる。「太陽の塔」は正直「?」と思っていたが。

この本の中だけではないが、岡本太郎は「絵は売らない主義」だの、「道があったら危険な方、失敗する方を選ぶ」だの、「今を生きろ、将来なんてくそくらえだ」(こういう言葉ではなかったかも)というような独自の価値観を展開していて、その一言一言がとても刺さる。そして、すごく信頼できる。現在名古屋で開催している展覧会のキャッチコピーに「職業?人間だ」と書いてある。絵を売る気もないのに画家というのも変だしね。それよりも何よりも、岡本太郎は生きること、日々の生活自体が芸術だと考えていて、なんだかそれがすごく刺さるのだ。

『自分の運命に楯を突け』 岡本太郎/著 青春文庫 2016年

(『週刊プレイボーイ』(集英社)「にらめっこ問答」(1979年から1981年連載)より再構成)

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