ジョバンニが学校で理科の授業を受けているところから物語は始まる。天の川について先生に聞かれるが、ジョバンニは上手く答えられない。一緒に図鑑を見ていたはずのカムパネルラもジョバンニを気遣ってか答えられない。
放課後、カムパネルラたちは星祭に行く約束をしているが、ジョバンニは一人、活版所へ行く。そこで少し働いて銀貨をもらう。
家につき、病床のお母さんと話す。お姉さんが作ってくれた料理を食べる。牛乳の配達がなかったようで、お母さんに飲ませる牛乳を取ってくるといって、ジョバンニは外出する。
ジョバンニが歩いていると、よくからかってくるザネリと出会う。ザネリは漁に出ているジョバンニの父がジョバンニに「ラッコの皮をとってくる」と言ったことをいつもからかってくる。ジョバンニは、自分は何もしていないのに、なぜザネリはいつも自分をからかってくるのだろうと思いながら歩き続ける。
時計屋の前を通ると、星座の早見や宝石のからくり時計などに見入る。空にはさそりや勇士やけだものや魚やびんがぎっしりいるのだろうか、その中をどこまでも歩いてみたいとジョバンニは思う。
牛乳屋に着き、牛乳のことを尋ねるが、牛の都合で遅れているようだ。またあとで来てくれと言われる。
道でザネリやカムパネルラたちに出会う。ザネリはまたも「ラッコの毛皮がくるよ」とからかってくる。カムパネルラは気の毒そうにしていたが、一緒に行ってしまった。
ジョバンニは丘や林を抜け、天の川を見わたせる、ひらけた場所までのぼっていった。遠くに汽車が見え、その明かりの一つ一つの窓の中に、旅人が笑ったり、リンゴをむいたりしているのかと思うとジョバンニは悲しくなった。
「銀河ステーション」という声が聞こえ、まわりがダイアモンドをひっくり返したように明るくなった。
ジョバンニは車室にすわっていた。カムパネルラも。
そして、2人の銀河旅行が始まる。
・・・改めて読み返すと、ところどころ覚えていて、きっと色々なところで読んだり見たりしたのであろう記憶の断片が繋ぎ合わさる。
宮沢賢治はたぶん国語の教科書にいろいろ載っていたのだろう。絵本もたくさん出ているから、いろいろなところで目にもしただろう。
星、動物たち、鳥、魚、石、音楽、自然、化石。
賢治の豊かな世界があふれ出るかのような童話。これを子どもの頃に読んでいて良かったな、日本中の子どもたちが読めて素晴らしいな、と感謝する。
銀河鉄道乗車中に手にするリンゴの美味しそうなこと。
思わずリンゴが食べたくなってしまった・・・
カムパネルラが突然消えて、ジョバンニがのどいっぱい泣いていると、
カムパネルラがすわっていた席には大人がいて、カムパネルラとはもう一緒に行けない、でもみんながカムパネルラだ、という。
おまえはおまえの切符をしっかりもっておいで。そしていっしんに勉強しなきゃいけない。
そして、夢の鉄道の中ではなく、本当の世界の火やはげしい波の中を歩いて行かなければならない
・・・だそうです。
『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治作 岩波少年文庫 2000年
~Wikipedia「銀河鉄道の夜」の項目より~
「銀河鉄道の夜」・・・『宮沢賢治全集第三巻』 文圃堂書店 1934年