俵万智さんがデビューした時、それはもう女子たちは騒いだものだ。
今まで見たことのない、斬新なものが確かにそこにあった。
人は見かけに寄らない、ともいうし、内面があふれ出るように外見に影響を及ぼすこともどちらもあり得ると思うが、この方は見た目はけばけばしい方の方ではないと思う。ところが、とっても情熱的だから、そのギャップが、まず人をひきつける。与謝野晶子みたい、と思っていたら『チョコレート語訳みだれ髪』を出されて、やっぱり、と思って読んだ。俵万智さんは、現代の与謝野晶子なのだ。情熱的で、業が深い、イメージ。
その、『チョコレート語訳』とは何かというと、この歌集のことなのだ。
チョコレートといえば、バレンタイン。数年分の歌をまとめた歌集なので、バレンタインだけではないが、恋の春夏秋冬というものが綴られていて、
初めに読んだ『サラダ記念日』ほどの衝撃はないにしろ、あー、やっぱり万智さんだ、という恋の歌。
たまにはこんな万智さんの恋の歌を読んで、人間の感情の限界まで感じてもよいと思うのです。
『チョコレート革命』 俵万智著 1997年 河出書房新社